最大の産出国は、じつは「中国」だった…古代から重宝される「金」の特徴

最大的产金国实际上是“中国”... 自古以来都备受重视的“金”的特征

現在までに118種類が知られている、世界を形作る構成要素、「元素」。私たち人類の身体もまた、さまざまな元素からできている。元素のちょっとしたバランスの乱れが健康状態までをも大きく左右する。そんな元素と人間の深遠な関係について、『元素118の新知識〈第2版〉 引いて重宝、読んでおもしろい』を著した桜井弘氏に聞いた。

截至目前为止已知的元素有118种,这些元素构成了塑造世界的基本要素。“元素”是构成人类身体的各种元素。元素的轻微不平衡会显著影响健康状况。本篇文章我们将会为大家介绍关于这种元素与人类之间深刻关系
金/Gold

金の最大の価値は、世界貨幣として経済的に独特な地位をもっていることにある。世界全体の金の年間生産量は3000~3300tであり、これまでに採掘された金の総量は約18万tとされている。
金は銅とともに人類が古くから知っていた金属である。『旧約聖書』などにも金に関する記述があり、また、イラク南部にある紀元前2600年ごろの王墓から、金を使った宝石細工が出土していることなどから、エジプトやメソポタミア地方では早くから使われていたことがうかがえる。
金の英語名goldは、インド・ヨーロッパ語のghel(輝く)に由来する。元素記号Auは、オーロラと同じ語源の金のラテン語aurumに由来している。2020年の最大の金産出国は中国(370t)であり、オーストラリア(330t)、ロシア(300t)、アメリカ(190t)、カナダ(170t)と続く。

金/Gold
金的最大价值在于其作为世界货币在经济上拥有独特的地位。全球金的年产量约为3000~3300吨,迄今为止开采的金总量约为18万吨。
金与铜一样,是人类古老的金属之一。《旧约圣经》等文献中有关金的描述,此外,在公元前2600年左右的伊拉克南部王墓中,发现了使用金制作的宝石工艺品,这表明在埃及和美索不达米亚地区金早已被使用。
金的英文名gold来源于印欧语言中的ghel(发光)。元素符号Au来源于与极光相同词源的金的拉丁语aurum。2020年最大的金产国是中国(370吨),其次是澳大利亚(330吨)、俄罗斯(300吨)、美国(190吨)和加拿大(170吨)。

金は化学的には反応性が低く、通常の酸やアルカリなどの溶液とは反応しない。しかし、塩素などのハロゲンには反応するので、塩素を発生する王水には溶ける。また、酸素の存在でシアンイオン(CN⁻)を含む溶液には溶解してシアン化物となる。水溶液中では、金はおもに+1または+3の酸化状態をとる。
化合物としては、+1化合物は一般に不安定であるが、+3化合物は安定なものが多く、Na[AuCl₄]やK[Au(CN)₄]を含む溶液は、金メッキを行うときのメッキ液として使われている。
しかし、通常自然界では、その化学的な不活性さと他の元素との化合のしにくさのため、金は単体として存在し、腐食しにくく黄金色の美しい輝きを長いあいだ保つことができる。さらに、やわらかいため細長く引き延ばしたり薄くしたりするなどの加工がしやすいので、高価な装飾品として用いられている。ちなみに、金箔なら厚さ0.0001mmまで薄くすることができ、1gの金があれば3000mの針金とすることもできる。

金的化学性质不是很活泼,通常不与常规的酸、碱溶液等发生反应。然而,它会与氯等卤素发生反应,因此可溶于生成氯的王水中。此外,在含氧的环境中,金会溶解为含氰离子(CN⁻)的溶液。在水溶液中,金主要处于+1或+3的氧化状态。
虽然+1价的化合物通常不稳定,但+3化合物通常较为稳定,包括Na[AuCl₄]和K[Au(CN)₄]的溶液常被用作电镀液。然而,由于其在自然界中的化学惰性和与其他元素的难以化合,金通常以单质存在,不容易腐蚀,能够长时间保持金黄色的美丽光泽。此外,由于金的柔软性,容易拉伸成细长或薄片,因此被广泛用于制作昂贵的装饰品。值得一提的是,金箔的厚度可薄至0.0001毫米,1克金可拉成3000米的金丝。

純金のままではやわらかすぎるので、銅、銀、白金、ニッケルなどの合金として用いられることが多く、この金合金の品位はカラット(K)で表される。これは、合金の重量を24としたときに含まれる金の重量の割合を示し、18金(24のうち18、すなわち75%が金という意味)、24金(純金)などのように用いられる。
また、電気伝導性が高く、腐食しにくいこと、合金は強度が高いことを利用して、携帯電話などの集積回路など電子部品にも広く利用されているとともに、歯科治療材にも用いられている。

由于纯金太软,通常以铜、银、白金、镍等合金形式使用,这些金合金的纯度用克拉(K)表示。克拉表示合金中金的重量占总重量的比例,例如18克拉(18/24,即75%为金)和24克拉(纯金)等。
此外,金具有高电导性、不易腐蚀的特性,利用其合金的高强度,广泛应用于电子器件,如手机集成电路,同时也用于牙科治疗材料。

化学的に安定な金に触媒作用はないと考えられてきたが、直径5nm以下のナノ粒子は驚くべき触媒作用を示すことがわかった。たとえば100℃の高温を必要とする白金やパラジウム触媒による一酸化炭素の除去を、金ナノ粒子はマイナス70℃の極低温で達成する。なお金ナノ粒子に黄金色の輝きはなく、赤茶色の粉末である。
さて、金は古くから医療にも用いられていたが、19世紀の終わり、治療上とくに注目されるようになった。

长期以来,人们一直认为在化学上稳定的金没有催化作用,但后来发现直径小于5纳米的粒子显示出惊人的催化作用。例如,金纳米粒子可以在零下70摄氏度的极低温下实现需要100摄氏度的高温才能完成的去除一氧化碳的催化工作。需要注意的是,金纳米粒子是没有金黄色的光泽,而是呈红褐色粉末。
而且金自古以来就被用于医疗,但直到19世纪末,其治疗价值才开始受到关注。

コッホが見出した医療的な価値
金は古くから医療にも用いられていたが、治療上注目されるようになったのは1890年に金シアン化合物が結核菌の成長を抑えることがコッホらによって見出されてからである。その後、1914年に金チオ硫酸ナトリウムが、1917年には金メルカプトベンゾールが結核の治療に用いられた。
しかし、当時結核の一種と考えられていたリウマチ性関節炎が、のちに結核とは異なる病気であることがわかり、これらの金化合物はこのリウマチ性関節炎の治療のために用いることが試みられるようになった。その後、1960年にヨーロッパのリウマチ協議会が、リウマチ性関節炎治療薬として金チオマレイン酸、金チオグルコースなどの新しい金化合物を開発し、それらが病気の進行を遅らせたり、骨が侵食されるのを防ぐことを認めた。

科赫发现的医疗价值
金自古以来就被用于医疗,但其治疗价值在1890年金氰化合物被科赫等人发现能抑制结核菌的生长后才引起关注。此后,1914年金硫氰酸钠被用于结核病治疗,1917年金巯基苯硫酚也用于治疗结核病。
然而,当时认为是结核病一种的类风湿性关节炎,虽然后来证明是一种不同的疾病,不过这些金化合物也因此开始尝试用于治疗类风湿性关节炎。此后,1960年,欧洲类风湿病协会开发了金硫氰酸钠、金巯基葡萄糖等新的金化合物,这些物质可以延缓疾病的进展,防止骨骼侵蚀。

金をナノメートル(10億分の1メートル)単位まで小さくした金ナノ粒子は、体積あたりの表面積が大きいために多数の化合物を表面にコーティングすることができる。そこで、治療薬を表面にコーティングして薬物の標的部位への送達のための輸送体としての利用が注目されている。この金ナノ粒子は発色性がよく、かつ退色しないことから、抗体などを結合させて目的とする生体組織の染色にも利用されている。
哺乳動物における金の必須性は証明されていないが、健康なヒトでは毛髪、肺、胎盤、血液などに極微量含まれている。しかし、金化合物投与などにより過剰に蓄積した場合には、皮膚炎、腎臓障害、肝臓障害、貧血などの障害が生じる。わが国では金箔入りの日本酒などを飲む慣習があるが、この金箔は吸収されず、そのまま消化管を素通りすると考えられる。金箔を食べたくらいでは問題ないというわけである。

将金缩小到纳米(10亿分之1米)单位的金纳米粒子,由于其单位体积的表面积较大,可以包覆许多化合物在其表面。因此,将治疗药物涂覆在其表面,以用作输送体,将药物传递到靶部位,这个功能引起了关注。这些金纳米粒子具有良好的显色性能,且不褪色,因此还被用于与抗体等结合,进行生物组织染色的目的。
在哺乳动物体内,金的必需性尚未得到证明,但在健康的人体中,毛发、肺部、胎盘、血液等中含有微量金。然而,如果通过金化合物投与等过度积累,可能导致皮肤炎症、肾脏障碍、肝脏障碍、贫血等障碍。在我国,有食用含金箔的清酒等的习惯,但金箔不会被吸收,会直接通过消化道排出。因此,食用金箔并不会引起问题。