「80トンの在庫を抱えて」中国の“禁輸”で過剰在庫のホタテ、余っていても“安く売れない”理由

因为中国的‘禁运’而囤积了的80吨扇贝,即使库存过剩也‘不能便宜卖’的原因


東京電力福島第1原発処理水の海洋放出をめぐり、中国が日本水産物の輸入を全面停止したのが2023年8月末。特に北海道産のホタテは、その約8割が中国への輸出だったこともあり、大打撃が見込まれた。政府が国民に「中国への輸出が多かった水産物」を国内で消費するように呼びかけを行う事態にまで発展した。
行き場を失ったホタテが過剰在庫となっている報道もあったが、現在はどうなっているのか。北海道でホタテを中心とした海産物の加工を行う「枝幸海産」の松島修一社長に話を聞いた。
80トンの在庫を抱え、倉庫がパンパンに
中国が輸入規制をしたのが8月24日。ホタテの名産地でオホーツク海に面する北海道枝幸(えさし)町の町営倉庫では、高さ8メートル程度の天井近くまで一気に在庫が膨らんだという。
「出荷は一時、完全に止まりましたね。うちは普段、在庫をほとんど持っていませんが、一気に80トンほどにまで在庫を抱えることになりました」と松島社長は話す。
それに対し北海道議会は、9月の初めに緊急の補正予算案を提出し、国内への販促のため8800万円の予算を盛り込んだ。
一方で政府は、9月29日に宮下一郎農林水産大臣が「ホタテを年に5粒食べて」と、国内での消費を呼びかけ、支援策に200億円程度を充てる方向で調整。
その影響はやがて現れはじめ「10月に入ってからは、おかげさまで在庫が徐々に減っていきました。うちもなんとか年内には在庫をなくして、いつもの状態で運営ができそうです」と松島氏。
余っているホタテを“安く売れない”理由
枝幸海産が大量の在庫を抱えていたのが1か月程度。ただ、年末まで在庫があるとすれば、四半期ほどは影響が続いたことになる。そのため松島氏は「もちろんまだ確定はしていませんが、今度の決算は黒字にならない覚悟をしなくてはいけないでしょうね」と肩を落とす。
しかし、ネット上ではこんな声が多く見られた。
「スーパーで見かけないよね」
「そんなに在庫があるなら無償提供してほしい」
確かに、在庫が増えれば価格が下がるのは自然な市場原理。しかし、それが即座にできない事情があると松島氏。
「ホタテは処理によって2年ほど冷凍できるので、去年の在庫を持っている業者もいます。それらは、在庫が増えて値が下がった現在よりも、1000円/kgほど高く仕入れたものなんです。ですので、あまりに安く売ってしまうと赤字が出てしまいます」
それでも、現在の状態では安く売るしかなく、赤字を垂れ流しながら販売している業者も増えてきたという。つまり、現在販売されているホタテは、実際に3割ほど安くなっているが、その背景には、膨れ上がる業者の赤字が存在しているのだ。
また、組合などの取り決めで「昨年仕入れたものを売り切らないと、新しいものを仕入れてはいけない」という取り決めがあった地域もあると同氏。中国という大口の販売先が失われただけでなく、高く仕入れたものを安く売らなくてはいけない状況が生まれてしまった。
「中国に輸出していない」のに…
こうした現状に仲卸の業者や海産加工業者は大きな損失を被っている。ホタテについては中国依存度が高かったことも原因のひとつだ。しかし、苦しみはそればかりではないようだ。
「取引が中国一辺倒だったことをネットで叩かれました。しかし、弊社は『中国には輸出せず、基本的に国内向け』に販売しているんですよ。なので、風評被害を受けたような形になりましたね」
何か問題があればすぐに炎上してしまう現代。「ホタテ業界」と大きな主語で考えて問題のない会社にまで攻撃をする人もいるようだ。
近年稀にみる苦境に直面したわけだが、松島氏は前を向く。
「確かに業界全体として現在は大変な状況です。でも、現実ですので受け止めて前向きにやっていくしかないと思っています。安く届けられるということはこれを機にホタテを食べる方も増えると思うので、逆にチャンスだと思ってやっていくしかないですね」
=====
話を聞き、率直に思ったのが、「漁業に携わる人たちの思いが詰まった貴重な資源を無駄にはしたくない」ということ。いま、私たちにできるのは、なるべく適正な価格で購入して食べることだろう。

<取材・文/Mr.tsubaking>

【Mr.tsubaking】

在东京电力福岛第一核电站处理水排放海洋后,中国于2023年8月底全面停止了日本水产品的进口。日本的海产品中、特别是北海道产的扇贝的约8成是出口到中国的,因此预计会受到重大打击。政府甚至呼吁国民消费“以前主要出口至中国的水产品”。
有报道称,失去了销售渠道的扇贝形成了过剩的库存,那么如今的现状如何呢?本报采访了在北海道以扇贝为中心进行海产品加工的“枝幸海产”公司的松岛修一社长。
【囤积了80吨的库存,仓库满满当当】
中国在8月24日开始实施进口管制。在扇贝的名产地、面向鄂霍次克海的北海道枝幸町的町营仓库,一夜之间库存激增、扇贝几乎堆积到8米高的天花板附近。
“出口暂时完全停止了。我们平时几乎没有库存,但现在一下子就囤积了约80吨的库存。”松岛社长说。
对此,北海道议会在9月初提出了紧急的修正预算案,并投入8800万日元(约424万元)预算用于促进国内销售。
另一方面,政府在9月29日由农林水产大臣宫下一郎呼吁国内消费,“每人一年吃5枚扇贝”,并为支援措施拨了约200亿日元(约9亿6千万)的预算。
随后影响开始显现,“多亏了大家,从10月开始库存逐渐减少。我们估计勉强能在年内清空库存、恢复正常经营。”——松岛先生说。
【扇贝过剩却“不能廉价销售”的原因】
虽然枝幸海产囤积了大量的库存只有一个月左右。但是如果到年底还有库存的话,就意味着库存影响持续了一个季度。因此松岛先生沮丧地表示“虽然现在还没有最终确定,不过我们必须做好这次财务结算可能不会盈利的准备。”
另一方面,在网上有很多这样的声音;
“在超市都看不到啊。”
“既然有那么多库存,就应该免费提供给我们。”
确实,库存增加通常会导致价格下降,这是自然的市场规律。然而松岛先生表示有些情况会导致不会降价。
“扇贝经过处理可以冷冻2年,所以一些企业仍有去年的库存。这些库存是在现在价格下降之前、以比现在高的1000日元/kg左右的价格进货的。因此如果卖得太便宜就会出现亏损。”
尽管如此,目前的情况是企业们不得不以较低价格销售,越来越多的经销商在亏本售卖。也就是说,目前市场上的扇贝实际上已经便宜了大约30%,其背后是经销商不停地亏本。
此外,松岛先生还提到有些地区根据合作社等的规定、“未卖完去年购入的产品就不能购入新产品”。商家不仅失去了中国这个大客户,还面临着要以低价销售高价购入产品的局面。
【明明没有出口到中国……】
在这种情况下,中间商和海产品加工商遭受了巨大损失。扇贝对中国的依赖度较高是导致如今局面其中一个原因。然而困境似乎并不止于此。
“我们在网上被骂说扇贝交易都是依赖中国的。但是我们公司没有出口到中国,基本上都是在国内销售的。所以我们这是风评被害了啊。”



在今天这个时代,一旦出现问题就会迅速引发网络热议。在“扇贝业界”这一笼统词下,就连没有问题的公司也会被攻击。
虽然面临近年来罕见的困境,但松岛先生仍然保持着积极态度。
“整个行业目前确实处于困难中。但这是现实,我们只能接受并积极面对。我认为要是卖得便宜的话也许会有更多人开始吃扇贝,所以我认为这也是一个机遇。”
听了这番话,我直观地感到,“不能浪费那些充满渔业工作者心血的宝贵资源”。现在,我们能做的可能就是尽可能在合理的价格时购买并食用这些产品吧。
<采访・文/Mr.tsubaking>