「富士山噴火」の「すさまじい衝撃」…襲い来る「溶岩流」、どう逃れる?

“富士山喷火”的“可怕的冲击”…袭来的“熔岩流”,如何逃脱?


前半では、溶岩流を予測すべく、流路シミュレーションを投影した「ハザードマップ」と、よりわかりやすくした「溶岩流の可能性マップ」をご紹介しました。しかし、マップ上に書き込まれた交通網、ことに富士山南側に走る東海道新幹線や東名高速道路などの大動脈が寸断されてしまうことに、気づかざるをえません。
今回は、溶岩の流路そのものを変えてしまおうという取り組みの例をご紹介します。溶岩の流れを変える取り組みは、なんと、富士山でも溶岩の流路を想定し、訓練が行われていました! 引きつつづき、『富士山噴火と南海トラフ』の著者で、京都大学名誉教授の鎌田 浩毅さんの解説でお送りします。

之前提到,为了预测熔岩流,用投影模拟了流向的“危险地图”和更容易理解的“熔岩流的可能性地图”。但是,不得不注意到地图上写入的交通网,特别是富士山南侧行驶的东海道新干线和东名高速公路等大动脉被切断了。
这次,我来介绍一下改变熔岩流路本身的例子。是不是很震惊,居然试图改变富士山熔岩的流动,而且真的有在进行训练!这是《富士山喷发与南海海沟》的作者、京都大学名誉教授镰田浩毅先生的解说。


17世紀には試みられていた「溶岩流の制御」
溶岩流のハザードマップを見て多くの人が気になるのは、溶岩が南へ下った場合、東海道新幹線や東名高速道路が寸断されてしまう可能性があることだろう。国家の危機ともいえるこの事態を、避けることはできないのだろうか。その方策を考えるためには、溶岩流の制御に成功したイタリアのエトナ火山の例が役に立つ。
エトナ火山では、古くは1669年の噴火で、溶岩流の進む方向を変えたことがある。この噴火で溶岩がシチリア島第二の都市カターニアの方向へと流れ下っていったとき、市民たちは大がかりな溝を掘って、パルテノという町の方角へ流路を変えようとしたのである。
このため、パルテノの市民たちは怒って、カターニア市民とのあいだで紛争となった。結局、大量に流出した溶岩流はカターニアの方向へと流れ下り、3000人を超す犠牲者が出た。歴史上たいへん有名な火山災害である。

17世纪尝试的“熔岩流控制”
看到熔岩流的危险地图,很多人都很在意的是,如果熔岩向南走的话,东海道新干线和东名高速公路可能会被切断。难道就不能避免这种可以说是国家危机的事态吗。为了思考那个方案,成功控制熔岩流的意大利埃特纳火山的例子很有用。
埃特纳火山,古时候是1669年的喷发,人们改变了熔岩流前进的方向。由于这次喷发,熔岩向西西里岛第二大城市卡塔尼亚的方向流下时,市民们挖了一条大规模的沟,想把流路改变到帕特诺这个城市的方向。
因此,帕特诺的市民们愤怒地与卡塔尼亚市民发生了纠纷。结果,大量流出的熔岩流向卡塔尼亚方向流下,造成了超过3000人的牺牲者。是历史上非常有名的火山灾害。

時代が下り、1983年に起きたエトナ火山の噴火では、ロープウェーの発着場やレストランが溶岩流によって埋没するという事態が発生した。その下流にはニコロージなどの、エトナ山麓の市街地があった。このとき、溶岩が流れてきた初期に冷えて固まった天然の「溶岩堤防」を破壊して、溶岩流の進む向きを変更するというアイデアが考えだされた。
溶岩堤防の側面の崖に何本ものダイナマイトをしかけて、溶岩流の本流から横へそらそうというのである。本流の右岸側に2メートルほどの深さで溝を掘り、過去の噴火で生じた火口へ溶岩を誘導しようとしたのだが、これはあまりうまくいかなかった。
1991~93年にかけて473日間も続いたエトナ火山の噴火の際にも、同様の試みがなされた。

随着时代的推移,1983年发生的埃特纳火山喷发中,发生了索道的起降场和餐厅被熔岩流埋没的事态。其下游有尼古罗奇等埃特纳山麓的市区。此时打算破坏熔岩流动初期冷却凝固的天然“熔岩堤防”,改变熔岩流前进方向。
在熔岩堤防侧面的悬崖上安装好几颗炸药,从熔岩流的主流向侧面转移。在主流的右岸侧以2米左右的深度挖了沟,想把熔岩引导到过去喷发产生的火山口,但这并不是很顺利。
在1991~93年持续473天的埃特纳火山喷发时,也进行了同样的尝试。


陸軍兵士と消防士が団結して堤防を築く
この噴火では総計2億5000万立方メートル以上の溶岩が、毎秒6立方メートルの割合で7平方キロメートルの地面を覆い、溶岩流はエトナ火山の南東にあるザフェラーナの町へ向けて流れていった。とりわけ1992年1月には、厚さ10メートルもの溶岩が、割れ目火口から5.5キロメートルを流れ下った。それに対し陸軍と消防士たちが、長さ234メートル、高さ21メートルの障壁を築いたのである。
しかし、溶岩流は障壁の基礎部分に達すると、1ヵ月ほどでついに障壁を越えてしまった。急斜面で溶岩は加速し、ザフェラーナの住民7000人を脅かした。やがて溶岩流は最後の障壁を乗り越え、ザフェラーナから離れた2軒の家を破壊し、さらに果樹園を覆った。陆军战士和消防员团结筑堤

在这次喷发中,总计2.5亿立方米以上的熔岩以每秒6立方米的比例覆盖了7平方公里的地面,熔岩流流向埃特纳火山东南的萨费拉纳小镇。特别是1992年1月,厚10米的熔岩从裂缝火山口流下了5.5公里。与此相对,陆军和消防员们筑起了长234米、高21米的屏障。
但是,熔岩流到达屏障的基础部分后,花了一个月左右还是越过了屏障。在陡坡上,熔岩加速,威胁到了7000名扎费拉纳居民。不久,熔岩流越过最后一道屏障,摧毁了远离扎费拉纳的两家,甚至覆盖了果园。

火山学者の考案により、別の方法が試みられた。溶岩がつくった土手の上部を空から爆弾を投下して壊し、溶岩を人工の側溝へ流し込もうというのだ。
まず、溶岩流の本流にある「溶岩トンネル」に大きな溶岩の塊を投げ入れて、流れをせき止めた。溶岩トンネルとは、地下を熱い溶岩が流れ下るトンネル状の通路のことで、何キロメートルも下流に溶岩を運ぶ役割をする。さらに、コンクリートの巨大な塊を、溶岩の流れをさえぎるために投下したが、その効果は決定的なものではなかった。
しかし、ついに7トンの爆薬で、溶岩を寸断することに成功した。流れは別の進路をとるようになった。幾多の試行錯誤がようやく実り、溶岩は町の手前にある谷に堆積して、ザフェラーナは破壊を免れたのである。

根据火山学家的设计,尝试了另一种方法。从熔岩形成的堤坝上部空中投下炸弹进行破坏,将熔岩注入人工的侧沟。
首先,在熔岩流主流的“熔岩隧道”中投入一大块熔岩,使流动停止。熔岩隧道是指热熔岩流经地下的隧道状通道,起到将熔岩运送到下游好几公里的作用。并且为了阻止熔岩的流动,还需要投下巨大的混凝土块,但其效果并不是决定性的。
最终起作用的是7吨炸药,成功地将熔岩切割成碎片。流向就会变成另一条出路。经过无数次的试验,熔岩堆积在镇前的山谷中,萨费拉纳避免了破坏。
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条件次第で、溶岩の流れをそらすことは可能!
一般に、溶岩流の流出では、進行する突端をせき止めることは難しい。しかし、このように条件がそろえば、流れを別の流路にそらすことは可能である。
爆弾を投下して溶岩流の方向を変える試みは、ハワイのマウナロア火山でも行われてきた。1935年にヒロ市に向けて流れ出した溶岩流に対して、空軍機から大量の爆弾を投下し流路を変えようとしたのだ。その結果、溶岩流のトンネルを破壊することはできたが、期待していた効果はあげられなかった。
爆薬を用いる場合には、溶岩流の流れを直接変えるよりも、火口のそばにできた「火砕丘」を破壊するほうが効果があるという考えもある。火砕丘とは、スコリア(二酸化ケイ素の少ない黒っぽい軽石)や火山灰が降り積もって円錐状の小さな山をつくったものである。
たとえば1942年のマウナロア火山の噴火では、噴出源にあった火砕丘が自然に崩れることによって、幸運にも流れ下る方向が変化した。人為的な方法で溶岩の流れ自体をコントロールしようとしても、直接的な効果は出ないことが多い。むしろエトナ火山の古い例のように、地上で導入路を掘って方向を変えるほうが有効とも考えられている。

根据条件,可以改变熔岩的流动!
一般来说,在熔岩流的流出中,很难阻止前进的突端。但是,如果这样具备条件,则能够将流动向其他流路转移。
投下炸弹改变熔岩流方向的尝试在夏威夷的马乌纳罗亚火山也进行过。对1935年流向希罗市的熔岩流,从空军飞机投下大量的炸弹,打算改变流路。其结果,虽然能够破坏熔岩流的隧道,但没有取得预期的效果。
也有人认为,在使用炸药的情况下,与其直接改变熔岩流的流动,不如破坏火山口旁边形成的“火碎丘”更有效果。火碎丘是由二氧化硅少的黑色轻石和火山灰堆积而成的圆锥形小山。
例如,在1942年的马乌纳罗亚火山喷发中,由于位于喷出源的火碎丘自然崩塌,幸运的是流下的方向发生了变化。即使试图通过人为的方法控制熔岩流动本身,往往也不会产生直接的效果。倒不如说像埃特纳火山的古老例子一样,在地上挖导入路改变方向更有效。

富士山でも溝を掘る訓練が行われていた!
富士山でも、溶岩が民家や畑へ流れ込むのを防ぐために、溝を掘って流路を変える方策が考えられている。実際に山梨県では自衛隊が山麓に溝を掘り、溶岩の流れる向きを変えるという防災訓練が行われている。
また、富士山の溶岩流に対しては、三次元のハザードマップも作られている。
富士山の山頂火口からの噴火など54のケースを想定し、山頂から半径20キロメートルの範囲で、具体的な被災状況を立体的な動画で示したものである。
二次元ではイメージしにくい広範囲にわたる災害を、より実感的に認識できるように工夫されていて、たとえば流れ出した溶岩が最大45日間の時間経過でどの地域まで到達するかを、動画で見ることができる。

富士山也进行了挖沟训练!
即使是富士山,为了防止熔岩流入民宅和田地,也考虑了挖沟改变流路的方案。实际上在山梨县,自卫队也在进行这种防灾训练,在山麓挖沟,试图改变熔岩流动方向。
另外,对于富士山的熔岩流,还制作了三维的危险地图。
设想从富士山的山顶火山口喷发等54种情况,从山顶半径20公里的范围内,用立体的动画表示了具体的受灾状况。
为了更真实地认识在二维中难以想象的大范围的灾害而下了功夫,例如可以通过动画看到流出的熔岩在最大45天的时间内会到达哪个地区。