「良いテクノロジー」であれば勝てるという幻想
90年代はインターネットの時代でした。多くのビジネス、テクノロジーの業界の人間はインターネットの可能性に狂乱していました。Windows95が登場した以降はまさにバブルそのものでした。私もインターネットの可能性を強く感じていた1人ですが、インターネットというインフラ、それにまつわる技術を制覇できることが最も大事で、完全に技術ドリブンに考えていた1人です。

有好的技术就能胜利的幻想
90年代是互联网时代。很多商业、技术业界的人都为互联网的可能性而狂乱。Windows95登场以后,正是日本的泡沫经济时代。我就是对互联网的可能性有着强烈感触的一个人。我认为互联网这个基础以及相关的技术领先才是最重要的,完全沉溺于技术驱动的想法之中。

確かに技術は大事です。しかし今振り返ってみると、大成功したGAFA、日本でもヤフーや楽天など、どれだけ技術があったでしょうか。最初は素人ながらのコーディングからスタートした企業も多かったでしょう。多くの起業家はスーパーエンジニアであったでしょうか。ビルゲイツはそうかもしれませんが、多くの起業家はスーパービジネスパーソンと呼ぶ方が近いのではないでしょうか。

确认是技术很重要。不过现在回头看,收获巨大成功的GAFA,还有日本的雅虎和乐天,到底有多少技术呢?最初很多都是从外行进行编码化开始创业的企业。很多创业者都是优秀的工程师吧。比尔盖茨虽然可能是这样,但是很多创业者更像是优秀的商业人才。

つまり、実際にはテクノロジーだけではビジネスの成功は約束されておらず、ビジネスで勝つにはビジネスのルールを学び、武器を活用する必要があるのです。それがまさに「経営」だと考えています。
その後の実態は私が説明するまでもないでしょう。失われた10年、20年、30年と言われますが、特に失われた20年を語る上ではこの技術偏重が招いた功罪は極めて大きいと言わざるを得ません。ある種の過信から来る経営判断、国内での過当競争の放置、撤退判断の遅れ、中途半端な投資、これらが日本の産業の競争力を削り取っていってしまいました。

也就是说,实际上仅仅靠技术是无法实现商业的成功的。在商业上想要获胜就需要学习杀昂也的规则,活用各种武器。这正是经营这个概念。
之后的发展不用我说明了吧。日本经历了失去的10年、20年、30年,特别是在讲失去的20年时确实偏重技术招致的功过非常大。对未来某种偏信的经营判断,对国内过度竞争的放置,撤退决断的迟缓,半吊子的投资,这些都减弱了日本产业的竞争力。

当時、理系の学生であった私は多くの産業構造について知る由もありませんでした。今の頭の良い理系の学生は私よりももっとそのことを頭では理解しているでしょう。実際に何をどうすれば良いかわかっていないのが実態ではないでしょうか。
私は宇宙産業に身を置いていた結果、インターネット業界より先に現実を突きつけられました。大きな課題に直面していたからこそ、技術ドリブンだけでは世の中に価値が提供できないということを当時から気が付くことができたように思います。

当时,作为理科学生的我没有了解很多产业构造知识的机会。现在聪明的理科学生比我更能理解这个事实吧。实际上不了解该怎么做才是实际状态吧。
我投身宇宙产业的结果,比起互联网产业更加早看到了现实。正因为直面巨大的课题,所以才能够发现仅仅靠技术驱动是无法给社会提供价值的。

日本のテクノロジー産業の「課題」と「強み」
私は宇宙開発に関わっていた頃から、日本のテクノロジーの強みは、「すり合わせ」と「融合」だと思っています。宇宙産業は、本来は日本が得意とする要素が詰まっています。素材の技術、小型化の技術、制御技術、画像処理、通信技術、電源技術、全ての融合でこそシステムが成り立ち、ロバストで自律的なミッションを可能にします。

日本技术产业的课题和强处
我在参与宇宙开发的时候,日本技术的强处在于协调和融合。宇宙产业本来有很多日本擅长的要素。材料技术、小型化技术、控制技术、画面处理、通信技术、电源技术,将这些融合在一起系统才能成立,才可以稳定且自律完成任务。

他にもファクトリーオートメーションなどもそうです。任天堂やソニーが日本から生まれゲーム産業を牽引したのも、複数分野をインテグレートして価値を届けるからに他なりません。
一方で、これまでパソコン、半導体、ソフトウェアなど複数の業界で日本は競争力を失ってきました。技術力の差別化要因が、スピードや規模や微細化などに収斂してきた場合です。そうすると徐々に投資戦略や、スケールを実現するためのサプライチェーンや販売戦略といったビジネスモデルや経営の差別化要因がより支配的になります。

其它比如工厂自动化也是如此。任天堂和索尼能从日本诞生,引领游戏产业也是因为整合了很多领域传递了价值。
另一方面,日本在电脑、半导体、软件等复数行业不断失去竞争力。这是技术力的差异化因素收敛到速度、规模和精细化的情况。这样慢慢的投资战略,以及实现规模化的产业链营销战略等商业模式和经营差异化因素就占据了主导地位。

今、世界のテクノロジー産業は総合格闘技の様相を呈してきています。日本は特定種目の強みはあっても、総合格闘技では苦手分野を残し、「融合」しきれていないと思います。テクノロジー分野でも社会インフラや、ソフトウェアとハードウェア、電力制御と素材、など複数の領域を跨ぐことで付加価値を出すようなアプローチが一つの方向性だと思います。

现在世界的技术产业呈现出了综合格斗一般的倾向。日本在某种特定的项目上就算有长处,但是综合竞争中还会留有不擅长的领域,所以就无法进行融合。
技术领域上我觉得讲社会基础、软硬件、电力控制和材料等跨领域融合才能实现高附加价值。
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これだけ、素材から電力制御まで幅広いエンジニアリングのノウハウや人材を有している国はそうありません。新興国も台頭してきていますが、ソフトウェアやインターネットなど新たな産業分野に集中している分、総合化への道筋は遠い。それは中国もインドも理解しているからこそ、着実に戦略を立ててキャッチアップしようとしているのだと思います。

没有哪个国家有着日本这样从材料到电力控制在很多领域都有技术积累和人才。新兴国家虽然也在崛起,不过在软件和互联网等新兴产业集中,这和综合化的道路相去甚远。不管是中国还是印度都理解到了这一点,所以才切实制定战略想要赶超。